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涅槃図とは、仏教の開祖であるお釈迦さまの入滅の場面を描いた絵画です。お釈迦さまが沙羅双樹の下で亡くなり、菩薩や天、動物など多くの生き物たちが集まり、嘆き悲しむ様子が描かれています。
そもそも涅槃とは、サンスクリット語のニルバーナという言葉を音訳して涅槃といい、意味は「煩悩の火が消えた状態」を意味します。
即ち、死にいたりて、完全に煩悩が消え、悟りが完遂するという事になります。
死=悲しみだけではない、真の平穏でもある。
そこから仏教では亡くなることを「涅槃」といいます。

お釈迦さまについて
まず画の中心で金色に輝き、横たわっている方が涅槃にはいられた直後のお釈迦さまになります。
「頭北面西」(ずほくめんせい)で横たわり、今日でも亡くなった方を北枕か西枕で安置するのはこの故事からきています。
沙羅双樹について
お釈迦さまを囲むように8本の樹が描かれています。
8本のうち4本は色が変色し、枯れてしまっています。これは、お釈迦様が亡くなられて、樹木でさえ悲しみのあまり、葉を枯らしてしまったと一説では言われています。
また残りの青々とした沙羅双樹はお釈迦様の教えは色あせることがない永久的な真理を表していると言われています。
この二つを描くことにより、死は必ず逃れる事のできないもので、悲しみではあるが、お釈迦様の教えは未来永劫残るものという普遍的な両方の真理を表しています。

摩耶夫人とは
この雲にのって先導しているのは、阿那律尊者になります。
そして一緒に乗っている中央の女性が摩耶夫人になります。
お釈迦さまの涅槃が近い事を悟り、摩耶夫人に知らせに行き、両脇に天女を引き連れて駆け付けています。
摩耶夫人はお釈迦様の実母であり、お釈迦様が生まれて七日後に亡くなったと伝えられています。
お釈迦様が涅槃に入らしむ事を嘆き、なんとか助けようと、長寿の薬をもってきたが、間に合わず、お釈迦様は涅槃に入りました。

錫杖、風呂敷
沙羅双樹に錫杖と風呂敷のようなものに何か包まれているようにみえます。
これは一説によると、摩耶夫人が涅槃の間際のお釈迦様に向けて、錫杖に薬を括り付けて投げたが、沙羅双樹の木に引っかかってしまい、結局間に合わなかった事を表していると言われています。
もう一つの説が、錫杖が当時最低限に許されている僧侶の持ち物だとされている為、袈裟と器(食事をいただく)だという説もあります。
また薬は間に合ったが、お釈迦様がそれを拒んだ。という話や、ねずみが薬をお釈迦様に届けようとしたら、猫に食べられてしまったなど色々な説が存在します。
猫がいるか、いないか
涅槃図の中には猫が描かれていない事が多いのですが、これは摩耶夫人が投げた投薬が沙羅双樹の木に引っかかってしまった時に、仏の使いであるネズミが取りにいくも、途中猫に食べられてしまった為だと伝えられています。
猫がいる図といない図は、作者の遊び心が大きく反映されており、作者の飼い猫をいれたり、依頼されて描いたりしていたそうです。
もう一つ有名な話は「十二支の順番」が関係しています。
お釈迦さまの入涅槃の話を最初に聞いたのは牛とされています。
ネズミは牛の頭に乗り移動し、途中猫が寝ていましたが、日頃から仲の悪いネズミと猫は、起こさず向かったそうです。お釈迦様の元に近づくと、ネズミは牛の頭から飛び出して、一番に到着しました。
そして猫はお釈迦様の涅槃に間に合わず、十二支にも入らなかった、というお話です。
大龍寺の涅槃図は正徳4年(1714年)のものです。
保存状態もよく高さ2m80cm 横幅2m19cm もあり、とても迫力があります。
残念ながら猫は描かれていませんが、珍しい動物がちらほらいますので是非探してみてください。
